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『プッシャー』三部作:やはりレフン監督の原点は原色とバイオレンス!

賛否!クセのある映画
引用元:Rotten Tomatoes
賛否!クセのある映画
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マイちゃん
マイちゃん

こんにちは!マイです!

ひげマスター
ひげマスター

ハイどうも、ひげマスターです。

今回ご紹介するのは映画

『プッシャー』三部作

2011年の傑作『ドライヴ』に衝撃を受け、ニコラス・ウィンディング・レフン監督の過去の作品が気になって調べたところ、母国デンマークで製作した『プッシャー』がデビュー作ということがわかりました。

そこで描かれていたのはまさしく『ドライヴ』の原点!デビュー作にして既に暴力描写と独特の色彩表現を見せていました!

基本情報

原題:Pusher / Pusher II / Pusher lll
製作国:デンマーク
公開年:1996年 / 2004年 / 2005年
ジャンル:サスペンス、バイオレンス
監督:ニコラス・ウィンディング・レフン
出演:キム・ボドゥニア、マッツ・ミケルセン、ズラッコ・ブリッチ、スラヴコ・ラボヴィック、ローラ・ドライスベイク、リーフ・シルベスター・ペーターゼン、アンネ・ソレンセン
上映時間:105分 / 100分 / 107分

概要:1作目はニコラス・ウィンディング・レフンの監督デビュー作にして、マッツ・ミケルセンの俳優デビュー作でもあるデンマーク製クライム・サスペンス。続く2作目・3作目ともにレフン監督が続投し三部作となった。国際的なマーケットで成功を収めた初のデンマーク映画と言われている。

『プッシャー』あらすじ:コペンハーゲンの麻薬密売人フランクは相棒のトニーと共に麻薬王ミロの仕事をこなしていたが、大口の取引に失敗したことで借金地獄へとハマっていく。

『プッシャー2』あらすじ:出所したトニーは借金返済のため裏社会の大物である父のもとで働き始めるが、服役中に知人女性が自分との子供を出産していたことを知らされる。

『プッシャー3』あらすじ:年老いたかつての麻薬王ミロは取引でヘロインを受け取るはずがエクスタシーを手に入れてしまう。借金返済を急ぐため部下にエクスタシーを売るよう命じるが、その部下が行方をくらましたことで窮地に追い込まれる。

ポイント&ストーリー

ドン底に追い込まれた男たちの暴走を描いた三部作

この三部作は一部の登場人物が共通しているものの、3作全て主人公が異なり、ストーリーの繋がりも薄いです。

ただし3作品に共通するテーマがあり、それは借金地獄に落ちた男が足掻く物語であるということ。借金で首が回らなくなり、命まで脅かされた人間はどんな行動を取るのか?そんな三者三様のドン底を描いたシリーズとなっています。

引用元:IMDb

そして裏社会、麻薬、借金地獄...と来れば当然、バイオレンスは欠かせません。『ドライヴ』でも鮮烈なバイオレンスを描いたレフン監督ですが、彼の原点であるこの三部作で既に暴力や残酷表現が取り入れられています。(特に3作目)

赤、青、緑...原色の光が生み出す深い陰影

レフン監督は中間色が見えづらい色覚障害を持っており、そのためコントラストの強い(色がハッキリした)映像を撮ることで知られています。

本作はコペンハーゲンのストリートが舞台なので、特にナイトクラブのような場面では画面が真っ赤になったりします。他にもネオンサインの青や緑など、強烈な原色が目に飛び込んできます。

引用元:IMDb
マイちゃん
マイちゃん

写真暗室くらい赤い!

ひげマスター
ひげマスター

でも意外と作品の雰囲気に合ってる。

また陰影の付け方も強く、俳優の顔が半分以上影で隠れてしまうようなショットも多くあります。これはサスペンス映画ではよくある手法ではありますが、これまで手掛けた作品を観るにレフン監督は影を付けるのが好きみたいです。

引用元:IMDb

ちなみに一般的な映画照明は下の概念図のような3点構成になっています。(ここでザックリ説明するためだけの図なのでライトの名前とかは適当です)

例えば屋外・日中のシーンなら日光がメインで、日光をレフ板で反射させた光がサブ、サブの光を更に反射させたのがバック...という具合です。光の使い方は監督や撮影監督によって千差万別なので一概には言えませんが、映画学校で習う基礎は大体こんな感じです。

サブとバックのライトを省くと影が濃くなるわけですが、レフン監督は積極的にこの手法を取り入れたとみたいですね。

そもそも観る機会が少ないデンマーク映画

大手のシネコンで上映される洋画のほとんどがアメリカ映画であり、次いで多いのがイギリス映画、他の国々の作品ではよほど話題にならない限りシネコンでは上映されません。

とりわけヨーロッパ映画は2000年台前半くらいまで”アート系”と言われる作品も多く、「何か芸術的っぽいことやってるけど、結局何が言いたかったの?」と言われてしまうような映画が多い印象でした。

ましてやデンマークの映画となれば、よほどのミニシアターファンでない限り観ることもないのではないでしょうか?(かく言う筆者も本作が初めて観たデンマーク映画です)

起承転結が分かりやすい”ハリウッド式”に慣れているとどうしてもストーリー展開を予想してしまいしがちですが、その点デンマーク映画にハリウッドのセオリーは関係ありません。ハリウッド映画に慣れている人ほど先が読めないと言ってもいいでしょう。

キャスト&キャラクター

1作目の主人公がクズ!

犯罪者を主人公にした作品は世の中に数多くありますが、それらの作品には悪人なりの美学や犯罪のスリルであったり、一種のカタルシスみたいなものがあったり、感情移入できる何らかの要素があるものです。

その点本シリーズ1作目の主人公フランクはどうしようもないクズで、借金返済のためなら女性に暴力を振るうなど手段を選びません。ハリウッド映画だったらオープニングで悪役を引き立てるためだけに出てきて殺されるチンピラのようなキャラクターです。

逆にチンピラを主人公に長編を撮り切るのがハリウッドにはないセンスとも言えますね。

引用元:IMDb

演じるキム・ボドゥニアはデンマークでは名の知られた俳優らしく、アメリカやイギリスの映画にもいくつか出演しています。Netflixドラマ『ウィッチャー』にも出演予定です。

マイちゃん
マイちゃん

これほど応援できない主人公も珍しいですね。

ひげマスター
ひげマスター

このどうしようもなさが独自のキャラクター性ではあるのかな。

「北欧の至宝」マッツ・ミケルセンのデビュー作

「デンマークの至宝」あるいは「北欧の至宝」と呼ばれる人気俳優マッツ・ミケルセンは、この『プッシャー』で映画デビューを飾っています。

マッツは体操選手とバレエダンサーを経て俳優になったという異色のキャリアの持ち主で、本作撮影時点で20台後半と少し遅めのデビュー。1作目の出演時間はやや少なめですが2作目では主演に抜擢されました。

今でこそ知的でダンディな印象が強い俳優ですが、デビュー作では下品でケチな犯罪者役。しかしながら既に独特の色気を醸し出しています

引用元:IMDb

この三部作のストーリーは雑にまとめるなら「借金返済のために金をかき集める話」なのですが、マッツ主演の2作目に関しては裏社会の大物である父親との関係と、服役中に生まれていた息子との関係が描かれ、父と子のドラマがテーマになっています。

マイちゃん
マイちゃん

三部作全て観るのが面倒という方は、最も評価の高い2作目だけ鑑賞するのもアリだと思います。

ひげマスター
ひげマスター

若いマッツ・ミケルセンが存分に見られるよ。
ちなみにグロいのが観たい人は3作目がオススメ。

トリビア

  • 1作目の撮影時点でレフン監督は弱冠24歳!カメラワークなどは荒削りなものの、発色の強い画面や暴力描写など、既に自分のスタイルを確立していますね。
  • 1作目はイギリスで二度リメイクされています。2010年版はヒンディー語、2012年版は英語作品で、レフン監督はオリジナル脚本や製作総指揮としてのクレジットに留まっています。

まとめ

『プッシャー』三部作 管理人レビュー

REVIEW

ドラマ性は薄く映像的に荒削りな部分もあるが、レフン監督が『ドライヴ』で描く鮮烈さの片鱗は既に見られる。狙い過ぎていない演出の数々はハリウッドでは見られないもの。マッツ・ミケルセンはデビュー作で既にセクシー。

オススメ度:★☆☆☆

『プッシャー』三部作はこういう人にオススメ

RECOMMEND
  • ヨーロッパ映画に興味がある
  • 犯罪もの、ギャングものが好き
  • マッツ・ミケルセンが好き
  • 独特な色彩の映像が観たい

レビューサイトでの評価

Rotten Tomatoes

批評家のスコアは三部作揃って高く、第2作に至っては100%一般のスコアも全て80%以上

引用元:Rotten Tomatoes

IMDb

1・2作目が7.4/10、3作目が7.3/10。スコア分布も7、8点が中心でほぼ同じ。

引用元:IMDb

予告編

『プッシャー』三部作が観られる動画配信サービス

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