こんにちは!マイです!
ハイどうも、ひげマスターです。
今回はコーヒーを豆から挽いて飲むときの最大の疑問の一つ
「コーヒー豆はどうやって保存すればおいしさが保てるのか?」
について解説します。
ズバリ申し上げますと、現実的に考えてコーヒー豆の劣化を完全に防ぐことは不可能です。
ただし劣化のスピードを遅らせることは出来るので、本記事では劣化を遅らせるのに最適な(=おいしさが長持ちする)方法についてご説明します。
コーヒーの味の変化
コーヒーは鮮度が大事
食品のパッケージの裏面などに「直射日光を避け、冷暗所に保存して下さい」なんて書かれているのを見たことはありませんか?
多くの食品はお店に並んでいる状態をピークに、そこから徐々に劣化していきます。その劣化を遅らせるために冷蔵庫に入れたり、湿気を避けたり、食品ごとの保存方法があるのです。
コーヒー豆に関しては焙煎という工程を経てはいるものの、元々はコーヒーチェリー(コーヒー木の実)の種であり、農産物です。言うなれば、コーヒーも一種の生鮮食品ということですね。
生鮮食品って聞くとお肉とか野菜とかを思い浮かべちゃうなぁ。
どちらかと言うとコーヒーは嗜好品ってイメージでした。
確かにコーヒーには栄養らしい栄養もないんだけど、鮮度が大事って意味では生鮮食品と言ってもいいかもしれないね。
コーヒーは焙煎直後から変化する
コーヒー豆の香りや風味は焙煎することで生じますが、焙煎によって発生する炭酸ガスや香気成分は放っておくとドンドン豆の外へ出ていきますし、豆の中の諸成分は化学変化を起こします。結果、成分のバランスが崩れ、おいしくなくなってしまうのです。
昔からおいしいコーヒーの秘訣は「3タテ」と言われてきました。3タテとは「焼きたて(焙煎したて)」「挽きたて」「淹れたて」のことですね。
そんな焙煎直後のおいしさを保つには、コーヒー豆の成分がどう変化するか、その原因を知る必要がありそうです。
焙煎後のコーヒー豆を変化させる5大要因+1
コーヒー豆を生鮮食品と捉えるならば、他の生鮮食品と同様に冷蔵庫や冷凍庫に入れれば長持ちするかというと、残念ながらそう単純でもありません。
コーヒー豆を劣化させる要因はいくつもあり、その全てに適切な対策が必要になります。
水分
焙煎直後のコーヒー豆は水分が3%未満しか残っておらず、カサカサに乾いています。乾いているということはそれだけ吸湿性が高いということであり、ジメジメした空間に晒しておくとあっという間に空気中の水分を吸収し、それによって劣化してしまうのです。
よって乾いた状態をキープすることが望ましく、正確には湿度35%以下の環境が良いと言われています。
酸素
私達が普段吸っている空気には20%ほどの酸素が含まれていますが、この酸素が豆を劣化させます。
下の画像は酸素濃度とコーヒー豆の賞味期限の関係を表したグラフで、右へ行くほど酸素が濃く、上に行くほど賞味期限が長くなります。
引用元:Coffee Freshness
注目して頂きたいのはグラフ左側の酸素5%未満の部分で、酸素濃度の上昇に対して賞味期限が急激に短くなっているのがお分かり頂けるでしょうか。逆に、酸素5%以上は変化が非常に小さくなっていることも。これは低濃度ほど影響が大きいという酸素の特性によるもので、特に0〜1%の間で劣化速度は10倍も違うと考えられています。
つまり、酸素による劣化を抑えるには酸素濃度を徹底的に0%まで近づける必要があるということです。
工場や専門店で包装されるものはガス置換によって酸素を取り除けますが、一般家庭においては脱酸素剤(生菓子の袋によく入っている「たべられません」と書いてあるやつ)と一緒に密閉するという手段があります。
ただ、家庭用の密閉容器で酸素の侵入を完全に防ぐのもまた難しいので、一般家庭で酸素を完全に除去するのは至難の業と言えます。酸素に関してはあまり神経質になり過ぎない方がよさそうです。
家庭用のガス置換装置をクラウドファンディングサイトで見つけましたよ!
2018年のプロジェクトか〜開発が進めば一般販売されるかなぁ...
光
日光はもちろんのこと、蛍光灯の光にも紫外線が含まれ、これも劣化の要因です。
酸素による油脂の酸化の度合いを数値化したものを「過酸化物価(POV)」というのですが、紫外線にはPOVの上昇を助ける働きがあります。つまり、光が当たる場所で食品の酸化は早くなるということです。
よって光が当たらない場所に保存するか、光を遮断する容器に保存する必要があります。
温度
コーヒー豆は温度が10℃上がると劣化速度は2倍に、逆に10℃下がると2分の1になります。では温度が低ければ低いほどいいのかというと、そうでもありません。
あまりにも低い温度で保存すると相対湿度が上がり、常温の部屋に取り出した際に一気に水分を吸収します。しかも温度に比べて水分の方がコーヒー豆に与えるダメージは大きいため、せっかく高温を避けて保存したのに、かえって劣化を早めてしまう結果に繋がります。
コーヒーの状態
挽きたてのコーヒーの香りっていいものですよね。でも、毎日飲んでいると挽くのが面倒に感じることがあります。(特に手挽きのミルしか持っていない場合)
ただ、コーヒー豆は挽いて粉にすると一気に劣化速度が上がるので、なるべく豆のままで保存しておきたいところです。
あえて粉の状態で保存するメリットを挙げると、都度挽かなくてよい手軽さに加え、豆よりもギッシリ袋詰めできることから省スペース化でき、また真空パックにもしやすい点が挙げられます。
コーヒー豆専門店はバルブ付きの袋を使うところが多いけど、雑貨屋さんやお土産屋さんだと粉を真空パックで売ってたりしますね。
ニオイ移り
前項までの要因はコーヒー検定教本にも明記されている5大要因で、コーヒー豆自体の変質を引き起こすものでした。
しかし全く別の外的要因によって劣化する場合があります。それはニオイ移りです。
焙煎したコーヒー豆は水分が飛んでいて中が空洞だらけになっており、その空洞によって高い消臭効果を発揮します。つまり、何かニオイを発する物の近くに置いておくと、そのニオイを吸収してしまい、コーヒー本来の香りを損なってしまうのです。
よってニオイを発するものから遠ざけるか、ニオイをシャットアウトする容器に保存しましょう。
コーヒー豆の保存方法と賞味期限
以上の要因を踏まえた上で保存方法と賞味期限についてお話ししますが、その前に1点だけ注意して頂きたいことをお伝えします。
コーヒー豆の賞味期限は購入した日ではなく焙煎した日から計算して下さい。
注文を受けてから焙煎するスタイルのお店であれば購入日=焙煎日となりますが、焙煎済みの豆を量り売りするお店や、定量を袋詰めした状態で売っているお店では焙煎日が明確でないため、気になる場合は店員さんに確認してみましょう。
大手のチェーン店は工場でまとめて焙煎してるから、大体袋詰めして売ってるよ!袋の裏に焙煎日が印刷してあったりするから見てみるといいかも。
未開封なら一応1年は持つ
コーヒーの賞味期限は、未開封かどうかで大きく変わってきます。
チェーン店にしろ個人店にしろ、コーヒー豆専門店では密封されたバルブ付きの袋で販売されることが多いです。このバルブ付きの袋というのは高いガスバリア性を持っていて、香りを外に逃さず、なおかつ外の空気が入り込みにくい構造になっています。
このような袋に入っている状態ならば、賞味期限は約1年です。ただし袋の中ででも少しずつ劣化は進行しますから、焙煎から1ヶ月以上経過した豆は風味が劣ります。
スーパーで売られてる豆は「賞味期限内だけど焙煎から日が経っている」ものがほとんど。だからあんまりおいしくない...
開封したら必ず密閉容器に保存!そうすれば1ヶ月持つ
袋を開封したら、すぐに豆のまま密閉容器(キャニスター)に保存しましょう。百均でも購入できますが、気密性の高いものを使わないと意味がないので、筆者はコーヒー器具メーカーのものをオススメします。
袋を開封することで賞味期限は大幅に縮むものの、それでもキャニスターに保存すれば常温で1ヶ月は持ちます。ただ、やっぱりキャニスターの中でも劣化は進行するので、早めに飲むに越したことはありません。
キャニスターってどれを選べば良いんでしょう?オシャレなカフェだとガラス製のものにコルクのフタが付いてるやつをよく見るような...
大事なのは気密性が高いこと!素材はガラス製や金属製など様々だけど、木製のものやフタがコルクのものは、木の香りが豆に移ってしまうからオススメ出来ないかな。
キャニスターに入れることで水分と酸素とニオイ移りを、遮光性の高いキャニスターや棚にしまうことで光を、豆の状態にしておくことで基本の劣化速度を抑えることが出来ます。つまり、容器で解決できない問題は温度だけです。
以下に温度を基準とし、おいしさを保ちながら保存する期間と方法をまとめました。
焙煎日から1週間で飲み切るなら常温保存でOK
冒頭で述べたように、コーヒー豆は焙煎直後よりも3〜4日経った方が味がしっかり出ます。その変化を楽しむという意味でも、焙煎日から1週間以内に飲み切るのであれば常温保存で問題ありません。仮に1日1杯のコーヒーを約14gの豆で淹れるとしたら、100gを1週間で使い切れる計算ですね。
ただし焙煎から1週間も経つとピークは過ぎ、香りや風味が徐々に劣化していきます。
飲み切るのに2週間かかるなら冷蔵庫に入れよう
冷蔵庫くらいの低温であれば、常温よりも少し長く保存できます。飲み切るのに焙煎日から2週間かかるのあれば冷蔵保存でいいでしょう。
ただし冷蔵庫には他の食材というニオイを発するものが一緒に保存されますから、ニオイ移りには特に注意が必要です。その対策としても、やはり気密性の高い容器が必須と言えるでしょう。
1ヶ月保存するなら冷凍庫へ
セールで安かったからついつい豆を大量に買い過ぎてしまった、なんてことありますよね。その場合、飲み切るのに焙煎日から1ヶ月かかるのあれば冷凍保存が有効です。
冷蔵庫よりも更に低温を維持でき、他の食材のニオイも発生しにくいため、かなりの保存力を期待できます。未開封であれば1ヶ月以上保存することも可能です。
冷蔵・冷凍保存時の注意点
温度の項目で述べた通り、冷蔵庫や冷凍庫から常温の空間へ豆を取り出した際に、その温度差によって湿度が上がり、一気に水分を吸収していまいます。真冬の暖房が付いていない部屋であれば大した温度差もありませんが、室温の高い夏場だとそうもいきません。
夏場、缶ビールを冷蔵庫から取り出して置いておくと、表面に水滴が付く(結露する)よね?あれと同じ現象が起きて、豆がたっぷり吸湿してしまうんだ。
有効な結露対策は、一気に温度を変化させないよう段階を踏んで取り出すことです。冷凍庫から冷蔵庫へ、冷蔵庫から涼しい部屋へ、涼しい部屋から暖かい部屋へと移すことで、急激な水分によるダメージを防ぐことが出来ます。
また、キンキンに冷えたままの豆を使うとコーヒーの液体の抽出温度も下がることになるため、味にも影響を及ぼします(温度が低い方が酸味が出やすい)。その観点からも、段階を踏んで室温に戻す方法をオススメします。
抽出したら遅くとも1時間以内に
今回はあくまでも豆の保存についてのお話なのでこれは念の為の補足になりますが、抽出したコーヒーの液体も劣化しますから、おいしく飲みたいのであれば30分〜1時間以内には飲んでしまいましょう。
液体の状態でも低温の方が劣化が遅いので、保存する場合は冷蔵庫に入れれば2〜3日は持ちます。また、再加熱する場合は直火よりも電子レンジの方がダメージが少ないです。
まとめ
本記事の要点を以下にまとめました。
- コーヒー豆を劣化させるのは水分、酸素、光、温度、粉にした状態。ニオイ移りにも注意が必要。
- 賞味期限は焙煎日から計算して未開封なら1年、開封済みなら1ヶ月。ただし、おいしく飲める期間は賞味期限よりずっと短い。
- 開封したら必ず密閉容器に保存する。
- 1週間以内に飲むなら常温、2週間かかるなら冷蔵庫、1ヶ月かかるなら冷凍庫で保存する。
- 冷蔵庫や冷凍庫から取り出す際は、いきなり常温に戻さない。
このように、コーヒーの鮮度を適切に保つのは手間がかかります。でも、せっかく買ったコーヒー豆ですから出来るだけおいしく飲みたいですよね。
最初は少し面倒に感じられるかもしれませんが、究極の1杯を追い求める過程だと思えば、理科の実験みたいに楽しくなってきますよ!
ここまで読んで頂き、ありがとうございました!
豆を上手に管理して、充実のコーヒーライフを!